マメニッキ

平凡な日常のアレコレ

映画「エセルとアーネスト」

          f:id:moipavut:20210320173520j:image

 スノーマンの作者であるレイモンド・ブリッグズが自身の両親をモデルに描いた「エセルとアーネスト」。U-NEXTで見た。ブリッグズのイラストによる本編が始まる前に、最初に、ブリッグズ自身と彼の自宅なのかアトリエなのか、すごくいい感じのお宅が出てくる。その雰囲気。部屋の中にあるものとか、部屋に差し込む光の感じとかが、いかにもイギリスという感じですごくいいな〜と、ほんの数秒のシーンだけれど、目が釘付けになった。気軽に行けなくなってしまったイギリスを思うと切ない。キッチンに置かれたたくさんのマグカップ。スノーマンの絵のものにティーを注ぐブリッグズ。すごくイギリスっぽい、としか言えないけれど。

 このシーンを見てすぐ、私はイギリスのケンブリッジにある ケトルズヤード( Kettle's Yard )に併設されている The Houseと呼ばれる、お宅を思い出した。ロンドンのTateのキュレーターだった、Jim Edeの住まいだったところ。今は予約制で見られるミュージアムになっている。Jimが収集した絵画や彫刻が家中にただ、飾られているのだけれど、そのひとつひとつが今や超有名なアーティストによるものばかり。Jimが暮らした時のままの家具やキリムがそのまま置かれていて、窓から差し込む日差しに輝くたくさんの植物、とにかく何気ないその佇まいがとってもすてきなお家なのです。これは⬇︎そのthe houseで撮った一枚。

               f:id:moipavut:20210321134658j:image

 で、映画の話に戻るけれど、物語の舞台になった1920〜30年代のロンドン。ブリッグズのイラストによるロンドンの風景が素敵だったー。ストーリー自体もすごくいい話だった。ブリッグズの両親の出会いから、結婚、ブリッグズの誕生、戦争、ブリッグズの巣立ち、そして夫婦の旅立ち。なんだかいろんなことを考えさせられる作品だった。戦争のシーンは辛い状況ながら、ややユーモアを交えて描かれていて、そこは新鮮だった。

エセルは年上女房だったんだね。夫婦ともに同じ年に亡くなったなんて….人の一生について考えさせられるとってもよい作品。おすすめです。